黒ちゃんの漫画こぼれ話 第2話     黒笹慈幾

ホーム > 漫画家大会議 新着情報 > 「ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です!」      高知旅編PR > > > くさか里樹先生から応援メッセージ > 高知インディーズマガジン「りぐる企画」代表 安岡京子さんインタビュー > 令和2年度全国高等学校漫画選手権大会(まんが甲子園)について > 第29回まんが甲子園について(29th Manga Koshien) > 第29回高知・漫畫甲子園(全日本高中漫畫錦標賽) 預賽題目延後公布事宜 > Preliminary Themes for 29th Manga Koshien (Korea) > Preliminary Themes for 29th Manga Koshien > 第29回全国高等学校漫画選手権大会(まんが甲子園)予選テーマ発表について > 【作品募集中】第2回世界まんがセンバツ  > 【中国語表記】世界まんがセンバツ 作品募集中 > 【韓国語表記】世界まんがセンバツ 作品募集中 > 国友やすゆき先生の訃報に際して > 世界まんがセンバツ 開催決定 > 土山しげる先生の訃報に際して > 漫画家 黒江S介先生インタビュー(映画「サムライせんせい」編) > アニメーター 有澤寛さんインタビュー > 【第5回アニ玉祭】 > 漫画家 森田将文先生インタビュー > (募集終了)平成29年度まんが教室 > 4コマまんが大賞 作品募集中!! > 第4回全国漫画家大会議inまんが王国・土佐 公募型プロポーザル実施のお知らせ > 高知県発の新番組「教えて!熱血高知!」 > 「ニコニコ超会議2017」に出展します! > 月ヶ瀬ゆりの先生インタビュー > 上北ふたご先生インタビュー > まんが王国高知の応援団×イオンモール高知 > 黒江S介先生インタビュー > “しんじょう君”高知県キャラクター観光特使就任 > 第3回全国漫画家大会議のチラシが出来ました! > まんさい14th―こうちまんがフェスティバル2016 > 北九州市漫画ミュージアムで開催のイベント > 北九州市漫画ミュージアムで開催中のイベントをご紹介! > 大沢俊太郎先生-インタビュー > 安倍夜郎先生インタビュー > まんが甲子園25周年記念インタビュー(レギュラー審査員 Moo.念平先生) > まんが甲子園25周年記念インタビュー(高知県高等学校文化連盟 松木会長) > 平成28年度民間放送教育協会 四国・九州・沖縄地区研究協議会高知大会 > 漫画×彫刻プロジェクト2016『Overture-序章』 > ワンダーフェスティバル2016夏 に参加してきました!! > 今年もゆるキャラRグランプリ2016に高知のゆるキャラ達が参戦! > “カツオにゃんこ”の漫画ができました! > 第3回全国漫画家大会議inまんが王国・土佐開催委託業務公募型プロポーザルの審査結果について > 四万十漫画倶楽部 しまくら ~イラスト・漫画の原画展示~ > 斉藤發司さんの訃報に際して > 第3回全国漫画家大会議inまんが王国・土佐開催委託業務公募型プロポーザルに関する質疑への回答について > 第3回全国漫画家大会議inまんが王国・土佐 公募型プロポーザル実施のお知らせ > ニコニコ超会議2016に参加してきました! > 水谷優子さんの訃報に際して > まんが教室を開催する小中学校を募集中です > 仁淀川町“ご当地まんが”できました! > 陸奥A子×少女ふろく展 > Moo.念平先生とひのもとめぐる先生も参加! > 黒ちゃんの漫画こぼれ話 第2話     黒笹慈幾

更新日 : 2016/02/22

去年に引き続いて今年も、「釣りバカ日誌」の原作者、やまさき十三さんが高知にやってくる。「第2回全国漫画家大会議」に出席するためだ。漫画を描いている北見けんいちさんの方は体調がイマイチということで、今年は欠席とのこと。残念である。


え

「釣りバカ日誌」は昨年10月に小学館から刊行された「ご一行様、ご来高!?の巻」(単行本第93集)で丸ごと一冊、高知県を舞台にストーリーが展開している。原作者のやまさき十三さんが高知県内各所で精力的な取材を敢行して原作を書いてくれたのだ。

じつは、やまさき十三さんは黒ちゃんと同類のどうしようもない「釣りバカ」で(失礼!)、「大会議」が終わったあとの浦戸湾の「ハイカラ釣り」を楽しみにやってくるのである。去年、仕掛けをブチ切られた「得体の知れない大物」(魚種は分からない。たぶん鯛の巨大なやつだとおもう)とのリベンジ・マッチを狙っているのだ。私もなんとか釣ってもらおうと準備万端整えているところである。
 

黒ちゃんは若いころに配属された青年コミック誌「ビッグコミックオリジナル」で「釣りバカ日誌」の初代担当者だった。それがいつの間にか主人公・浜ちゃんのモデルという噂が立ち、高知に移住してからの人生が大きく変わってしまった。東京の出版社を定年退職して地方のどこか知らない町での「ハッピーリタイアメント」ライフを夢見ていた。ひっそりと人知れず「毎日が釣り日和」の日々を送るつもりだったのだ。原作のやまさき十三さんは、黒ちゃんの平穏な老後の人生を書き換えた張本人ということになる(恨んではいませんが)。


「釣りバカ日誌」はのちに松竹で映画化され、「究極のサラリーマン・コミック」として世間に広く知られるようになったが、スタート時点ではそんなことは想像すらできなかった。

当時、原作のやまさきさんは映画の助監督出身の駆け出しの原作者、北見けんいちさんは売れっ子漫画家・赤塚不二夫さんのアシスタントだった。黒ちゃんは入社6年目、29歳の駆け出し編集者。「駆け出しトリオ」で新しい作品を作ることになったのだ。

じつは作品の取材の段階で、当時の関係者以外は知らないまさに「危機一髪の事態」が起きていた。このときの奇跡的な幸運がなければ「釣りバカ日誌」は世に生まれていなかった。もう時効だと思うので、そのことを書こうと思う。

 

作品の取材のために、早朝の(5時くらいだった)東名高速道路下り線を走って静岡市に向かっていたわれわれの車の直前で、その事故は起きた。車には原作のやまさきさんと、私を含む編集部の人間の3人、計4人が乗っていた。
100mほど先の走行車線を走っていた大型トラックが急に車線をまたいで蛇行し始めた。あとで居眠り運転が原因だと判明したが、追い越し車線を走っていた後続の大型トラックに接触して横転、我々の車の行く手をふさぐ形になった。

急ブレーキをかけたが間に合わない。あわや衝突かと思った時に奇跡が起きた。我々の後ろを走っていた大型トラックが急ブレーキを踏んだ我々の車をギリギリ回避して前方の横転している車に突っ込んだのだ。行く手をふさいでいた大型トラックの露払いを後ろのトラックがやってくれた格好になり、我々の車は正面衝突を免れたのである。まさに間一髪であった。

「もしあのまま突っ込んでいたら」

「もし後続のトラックが露払いしてくれなかったら」

そう思うとぞっとする。いまでもその光景がフラッシュバックする。

静岡県の高速道路交通警察隊の人が

「大型トラックを何台も巻き込んだ多重事故なのに、普通車のあんたたちはよく助かったよね」

とあきれたほどである。

たしかにあの幸運がなければ、われわれ4人の生命はなかった。「釣りバカ日誌」も生まれず、「釣りバカ日誌・高知編」も実現しなかった。運命の不思議さを実感させられる事件だった。

▲ページのトップへ