黒江S介先生インタビュー
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現在好評発売中の「サムライせんせい」の作者・黒江S介先生にインタビュー。
高知を代表する偉人・武市半平太が平成の世にタイムスリップ!? という、 笑い・歴史・驚きが混じり合った黒江ワールドはどのように作られたのか。
今年2月に高知県に移住してきたばかりの黒江先生に、漫画家になるきっかけから 「サムライせんせい」誕生までを語ってもらいました。
●まんがに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか?
お絵描き程度でしたが、小さい頃から絵を描くのが好きで、どこに行くにもお絵描きセットを持ち歩いていました。本格的に絵を描く仕事に就きたいと思ったのは、一度就職してからでした。
●プロになるまでは、自分で作品を描いたことはありますか?
友達に見せるような、ちょったしたまんがを描いたり、絵を描いたりしていたぐらいです。でもその頃は、本格的に漫画 家になれるとは思っていませんでした。だから、「踊る大捜査線」を観て警官になりたいとか、小説を読んで小説家になり たいと思っていましたが、その中に漫画家という職業は含まれていませんでした。
●今まではどのような職業に就かれていたんですか?
高校を卒業してすぐに、キャラクターグッズの販売業をやっていました。ネットオークションの管理や、店舗の店長を任 されたりと、漫画家とはかけ離れた仕事でした。でも、そこから映画の影響でイギリスに行きたいと思うようになり、仕事 を辞めて一ヶ月ほどイギリスに行っていました。その後、コールセンターなどのバイトを転々として、22歳の時に、そうい えば「絵を描くのが好きだったな」と思い出し、美術の専門学校に通い始めたんです。
●プロとして活躍するようになったのはいつからですか?
専門学校の卒業を控え、周りの生徒が次々と就職先が決まっていく中、一人だけ就職できずに卒業してしまいました。そんな時、学校の先生から「イラストを描く仕事があるがやってみないか」と、声を掛けられて絵を描いたのが、初めてお金をいただいた仕事でした。しかし、仕事歴やネームバリューの低い漫画家は舐められることが多くて、徐々に給料を 減らされてしまって、さすがにこの給料じゃやっていけないと担当さんに伝えると、そこから仕事が来なくなってしまった んです。
その後、他の仕事を探すために東京へ行き、イラストの会社に面接と営業をかねて訪ねて行ったところ、そこで再び絵を 描く仕事をいただけることになったんですが、不況のあおりを受け、徐々に仕事が少なくなっていってしまって... 「いよ いよヤバいな」と思っていた矢先、仕事の合い間に描いていた同人誌に目を留めてくださったのが、「OPERA」という雑誌 の担当さんだったんです。その話をいただいた時は「やっと漫画の話がきた!!」と、すごく有頂天になったのを覚えています。しかし、その出版社でいくつか作品を描いていたんですが、読者の共感をあまり得ることができず、結局、単行本 は出せないまま連載は終わってしまいました。
●「サムライせんせい」の話はどこから?
連載が終わった後に声を掛けてくださったのが、現在「サムライせんせい」を出版している「リブレ」でした。担当の方が、「OPERA」で描いていた時の私の作品を見て興味を持っていただいたようで。
はじめは「スポコン漫画を描いてくれないか?」という話だったんですが、「私、スポーツはあまり分からないので(笑) そこで私の得意分野である幕末なら描けます。」という話を提案すると、担当の方からもOKが出て「サムライせんせい」を描き始めることになりました。
●「サムライせんせい」のストーリーはどのように生まれたんですか?
私の妄想の中で「武市半平太が学校の先生になって、侍のまま授業していて。ある日、近所に変な人がいるという噂を聞きつけて、子どもたちと一緒に行ってみた ら、それがホームレスの龍馬だった」というイメージがあったんです。
幕末もので進めることが決まったとき、がっつり幕末の話だと分からない人もたくさんいると思ったので、どんな方でも 楽しめるようにとタイムスリップという題材をプラスして少しライトな作品に仕上げたいと思いました。そこから主人公を 決めるとなった時に、坂本龍馬などの有名どころは、もう色んなまんがで使い古されている感じがあったのと、現代にタイ ムスリップしてきても、あまりギャップを感じない様な感じがしたんです。だからここはめちゃくちゃ堅物な武市半平太を 主人公にしようと思いました。
●それぞれのキャラクターは背が高かったり、鼻が高かったり、ほくろがあったり と特徴的な部分が多いですが、これは実際の事実を元にしているんでしょうか?
例えば龍馬のほくろは龍馬のバストアップの写真を解像度の高いもので見ると実 際に映っています。「アザ」というあだ名が付いていたと言うだけに、坂本龍馬の 顔にはほくろだけでなくそばかすも非常に多かったようですが、絵に描いてみると 汚くなってしまったのでこれは省きましたが(笑) あと武市半平太の鼻の形もこだわって描いています。それとアゴ。武市半平太はすごくアゴがしゃくれてたみたいなので! 写真は残ってないんですが頭脳明晰、眉目秀麗、色白で鼻も高くて... と、今で言うイケメンだったようなので、これはとても意識して描いています。これらと同じように他のキャラクターに関しても多くの歴史的な文献を読んだりしな がらキャラクターを描いています。
●3巻目では土佐弁のセリフが非常に多いですが、かなり苦戦されたのでは?
正直な所、未だに「ゆう」と「ちゅう」の使い分けがまだ分からないです(笑) 土佐弁はすごく独特で、まるで英語を話しているみたい。感覚としては「ぜよ、ぜよ」言っているイメージですが、実際に使うとそれだけではなくて。特に古い方言はかなり難しいですが、その部分は出版社に高知出身の方がいらっしゃるので、その方に教えてもらったりしています。
●来年春発売の「サムライせんせい」の見所を教えて下さい!
3巻目の最後で少し予告はしているんですが、4巻目は岡田以蔵がメインの話にな ります。これまで知られてきた以蔵はどちらかというと、読者が感情移入しやすい 人情味溢れるキャラクター設定をしている作品が多かったんですが、私としては以 蔵の中にある狂気の部分を描けたらと思っています。文献を調べてみると岡田以蔵 という人物は普通に家族もいて、しっかりとした教育も受けていて、成績は悪かっ たけれども読み書きもできる普通の子ども時代を過ごしているんです。だけどそんな普通の家庭から後々「人斬り以蔵」と言われる人物になってしまう。というのは、本人になにか常人とは違う異質なところがあったのではないかと私は考えているので、多くの人がまだ見たことの無い以蔵の姿を楽しんで見てもらえたらと思います。
●最後に漫画家を目指す方へアドバイスをお願いします
私自身はスカウトでこの業界に入ったので、作品を投稿したりすることは有りませんでした。でも今はイベントに出た り、イラストを簡単に発表できる場所がたくさんあるので、漫画家になるための門はかなり広がってきていると思います。 さらに出版社は即戦力の新人を求めていることが多いので、漫画家になるために努力をするよりは、そのチャンスを掴むた めの努力を怠らないことがプロの漫画家になる一番の近道だと思います。
例えばイベント等で自分の作品を自費出版して、そこで声を掛けられたり、または出張編集部と呼ばれるところに作品を 持って行ってその場で自分の作品を見てもらったり。そういった時には、ちょっとでも見込みがあれば名刺をくれるので、その時に恥ずかしがって躊躇するのではなく、名刺をもらった瞬間にすぐ連絡をするぐらいの気持ちで次のネームを見せたり、これまでに書き溜めていた漫画を見せたり、なんでもいいからどんどんアタックしその熱意を伝える事が大切だと思います。
メイド・イン・高知 そして、世界へ!
明治維新・幕末150年記念作品『サムライせんせい』映画化決定!
明治維新・幕末150年記念映画として、武市半平太の故郷、高知の地元の人々の全面バックアップにより「サムライせんせい」が映画化。
ちょんまげ頭に着物で颯爽闊歩するぼくらの先生は、お侍。なぜだか分からないけど、幕末からやってきたらしい?見慣れぬ文明に右往左往する先生は、町の皆さんの好奇の目に晒されて……。笑いあり、感動ありの侍タイムスリップ!
高知発、高知発信の映画として、TVドラマ版とは異なるオリジナルストーリーと設定が追加され、新たな「サムライせんせい」を全国へ発信する!!
◆監督/渡辺一志 ◆製作/ヴァンブック ◆企画/KOUプロダクション ◆映画公式WEBサイト /http://samuraisensei.com/ ◆原作/黒江S介
黒江S介プロフィール 大阪府大阪市出身。女性。新進気鋭の漫画家としてデビュー。歴史と笑いを交えた「サムライせんせい」のコミック1巻を2014年11月に発売し、2015年にはドラマ化された。2016年2月より高知へ移住し創作活動中。 ■クロフネコミックス「サムライせんせい」1~3巻 以下続刊予定 黒江S介 リブレ刊 ⒸEsusuke Croe/libre 2016
pixivコミックにて連載中 https://comic.pixiv.net/works/741
★コミックス公式WEBサイト http://samurai-sensei.jp/ ★コミックス公式Twitter @samurai__sensei
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