漫画家 森田将文先生インタビュー

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更新日 : 2017/09/20
森田将文先生インタビュー

舞台は現代、戦国武将・長宗我部元親が、
前世の記憶を持ったまま昆虫として生まれ変わったという設定のコメディ、
「出陣★昆虫武将チョウソカベ!」が、
7月27日発売の「週刊少年チャンピオン35号(秋田書店)」でスタート!
この作品は、高知県在住の漫画家、森田将文先生の連載です。
新たな連載を持った先生に、漫画家までの道のりや作品のこと、これからの目標などを聞きました。

漫画家を夢見た人たちが集まった場所

 森田将文先生は1979(昭和54)年生まれ、現在37歳。さまざまな経験を経て、実力を培い、脂がのった年齢で週刊少年チャンピオンの連載を持った先生は、なんと幼稚園の時に早くもソーセージのキャラクターをつくって、友だちと遊んでいたという、発想が豊かな子どもでした。

 小学生になると、友だちをモデルにキャラクターにして、自由帳にまんがを描き、皆に読んでもらうほどに。この頃から「まんがを描く」ことを意識したといいます。しかし、進学校である私立の中学、高校時代は好きなまんがを、人前で封印します。

「当時、思春期になってまんがを描くのは暗いというイメージがあり、それを人前で見せるのは気恥ずかしい感じがあって…。たまに弟に見せる程度でした。」と振り返ります。高校三年生で進学を考える時期になり、漫画家やイラストレーターを視野に美大へ進学したいと美術の先生に打ち明けると、とにかく絵画教室へ通って技術を磨けとアドバイスを受けたといいます。

「結局は一浪して名古屋造形芸術大学デザイン学科に入学しましたが、絵画教室でも大学でも、はじめて絵を描く仲間がいることを知りました。やはり絵の上手い人に褒められたら嬉しいし、人に見せて反応が返ってくる楽しさなどを思い出しました。特に大学では、一度は漫画家を目指していたような人たちが集まっていることを知り、自分ももう一度夢を追いたい、まんがを描きたいという気持ちになりました。それから本格的に作品づくりに取りかかりました。」


漫画家 森田将文先生インタビュー

命がけでまんがを創り、その上で楽しそう!?


森田将文先生

 しかし、ここからの道のりも紆余曲折が続きます。大学生時代、二度ほどマンガ賞に投稿するも、まったく結果がでなかったという森田先生。何が悪いのかを知りたいと、東京の出版社に直接作品を持って行ったといいます。その時、対応してくれた編集者の方にアドバイスをもらい、作品のやり取りが始まります。卒業後すぐ「もっと絵の勉強をしたら」と編集者に薦められ、連載がはじまる漫画家のアシスタントをはじめます。三カ月で打ち切りになる厳しさや、連載が続いて売れていく先生について泊まり込み作業で追いまくられる日々をはじめ、さまざまな体験をします。

「まんがって、打ち切りも多いし、やはり恐ろしい世界です。読者の方は『この作品はつまらない』と簡単に読むのをやめてしまえますが、いろいろなまんがを手伝わせていただき感じたことは、どの先生たちも命がけで創っていて、その上で楽しそうだということです。そんな姿を見せてもらえたので、自分もそうなりたいと思い続けられました。」

 アシスタントを離れ、広告会社で働きながらまんがやイラストを描いてきた森田先生。2008(平成20)年「第20回黒潮マンガ大賞」を「カゼノコ」で大賞受賞。2011年、週刊少年チャンピオン月例フレッシュまんが賞を受賞した「王様日記」で鮮烈デビュー。その後作品発表を繰り返しながら、2017年7月から「出陣★昆虫武将チョウソカベ!」がスタートしました。


昆虫がしゃべってもおかしくないキャラ設定に


森田将文先生

「出陣★昆虫武将チョウソカベ!」は、戦国武将・長宗我部元親が、前世の記憶を持ったまま昆虫として生まれ変わったという設定のコメディ作品。舞台は現代、クラスになじめない中学生・夢見獏とクラスメートの森乃きりん、そして「殿」と呼ばれるしゃべる昆虫の物語です。

「読み切り20ページくらいの作品が終った後、このサイズ感は僕の性にあっている感じでした。そんな中で担当者に、次に何かモチーフはないか?といわれた時、戦国時代や武将は好きで、武将がちっちゃなキャラになる話はどうかと提案しました。

 武将を現代で遊ばせようって思った時に、身近にいるものを考えました。例えば上杉謙信が虎に生まれ変われば、それは日常生活がおくれないですよね。猫や犬も皆同じスペックになるし、ディズニー映画『バグズ・ライフ』や、みなしごハッチなど昆虫の世界もアリだと思って、キャラ造形やリズム、この感じでつくったら人間としゃべれてもおかしくないなど、設定が出来あがっていった感じですね。

 連載が決まって、改めて歴史(戦国時代)を調べました。武将同士の人間関係を間違ってはいけないし、長宗我部がこの時代にこんな台詞を言うはずがないとか、一度載ってしまえば取り返しがつかなくなるので、そこは準備段階で意識しました。」


自分が思っていないことを描くと、説得力を持たない


森田将文先生

 週刊で掲載される作品は、作画をアシスタントスタッフに手伝ってもらいながらだいたい4日、残り3日でストーリーを考えているとのことです。「気分転換に海など自然の中でプロットを考える時もあります。連載スタート前に5話ぐらいストックをかまえていたので、『この日までに絶対仕上げろ!』はまだありませんが、近々、言われそうです。」と笑います。

 森田先生は「これからの展開について詳しい話はできませんが、とりあえず最終回をどうするかは決めています。そこに向かっていくというより、その最終回をどれだけ豪華にできるかを僕は楽しみにしています。長く掲載できれば、きっといろいろな昆虫もでてくると思います。」と考えているようです。

 2016年10月に県内に帰郷し、活動を続ける森田先生。今でも正木秀尚先生や、くさか里樹先生などにアドバイスをもらったり、現在Web「ジャンププラス」で連載している高知在住の中川海二先生と交流し刺激を受けています。

 最後に、森田先生の将来についてと、高知で漫画家を目指す方へのアドバイスをお願いしました。

「将来についてというより、今の生活をどこまで続けられるかでしかないと思います。とりあえずは漫画を描き続けられるというのが一番ですね。

 日頃から気をつけていることは、生活をする上で面白かったり、ムカついたり、感情が派手に動く時ってあるじゃないですか。その時のことはメモに残します。映画を観た時に感動したシーンを貯めておくと、作品の中でちょっとなにか欲しい時に引っ張り出せます。結局、自分が思っていないことを描いても伝わらないもので、そこは大事にしています。」


森田将文先生プロフィール

1979年、高知県生まれ。
土佐中学校・高等学校、名古屋造形芸術大学を卒業後、東京で漫画家、イラストレーターとして活動する。
2008年、「第20回黒潮マンガ大賞」で大賞受賞。
2011年、週刊少年チャンピオン(秋田書店)の「王様日記」でデビュー。
2017年7月から「出陣★昆虫武将チョウソカベ!」が連載中。

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