高知インディーズマガジン「りぐる企画」代表 安岡京子さんインタビュー

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更新日 : 2015/10/07
高知インディーズマガジン「りぐる企画」代表 安岡京子さんインタビュー

高知発の漫画雑誌「高知インディーズマガジン」は、代表の安岡さんが発行・編集・配本・スポンサー集めなど一人で何役もこなすことで、約10年間発行され続けています。
このまんがへの愛情、ぐっと胸に響きます。

全国募集の漫画雑誌

高知インディーズマガジンは「描きたいキミとつながるマガジン」をコンセプトに、漫画家の卵たちを応援している漫画雑誌です。2006年7月に準備号を、10ヶ月後の2007年5月に記念すべき創刊号を発行。それからは年2冊のペースを続け、2015年5月現在、17号まで発行されています。この約10年間の歴史は、ひとりの女性が中心となって積み上げてきました。同雑誌の発行者であり、「りぐる企画」代表の安岡京子さん。彼女の雑誌への想いやこだわりについて、伺いました。

安岡さん本人も漫画家志望で、以前は作品を描いていたそうです。その作品を大勢の方に見てもらう手段として雑誌づくりを計画。友人らに声をかけてスタッフを集め、まんが甲子園、県内で開催されるまんがのイベント、国際デザイン・ビューティカレッジの学生たちなどから作家を募りました。
「最初は気軽な感じで始めたんです。本当は私も描くつもりだったんですよ。まずは創刊準備号をつくるために、県内限定で作家を募集しました。並行して、描いてほしいと思う人への説得にもあたりましたが、この作業が予想以上に大変でした。改めて感じたのですが、高知は作品を発表する場が多くあるんですよ。例えば高校生はまんが甲子園があり、部活動の中に漫画研究会がほとんどあります。そういった活動に比べて、雑誌に作品を掲載することにはハードルが高かったようです。逆に県外からは何件か掲載させてほしいという要望があったので、それじゃ全国から募集をしようと…。こうして準備号をつくっていくなかで、作家とのやり取りは予想以上に時間がかかりましたが、編集者の仕事がどんどん面白くなっていきました。そして次第に、自分が描くより、皆が上手になっていく様子を見ることが嬉しく思うようになりました。」


高知インディーズマガジン「りぐる企画」代表 安岡京子さんインタビュー

大切な原稿を預けてもらう

県内で会える作家には直接会って話をし、県外の作家には添付された作品に赤ペンを入れてメールでやりとりをするなど、多くの商業誌と同じように、作家と編集者が2人3脚でアイデアやコマ割り、構図などを練り直し、修正・変更等の作業を行った後の作品が掲載されています。以前はダメ出しすることへの遠慮もあったそうですが、そんな時、作家から「編集者が自信を持ってやってくれないと、大切な原稿を預けることができない」と言われたことを肝に銘じ、それからは自分を信じてアドバイスするようになったそうです。
すべての作品に関わる安岡さんの負担は大きいですが、少しでも良い作品にして掲載したいという想いが詰まっています。号を重ねるごとに作家もストーリーや画力が上達し、新しいステップにあがっていきます。それは高知インディーズマガジンの進化ともいえます。

安岡さんがエクセル紹介漫画のムック本を取りだして、「このイラストを全編担当したのは、ビバ!!さんなんです」と話してくれました。ビバ!!さんは島根県出身で、高校生の時に「漫画を描きたい」と手紙をくれ、投稿してくれた女性です。それから何度も原稿のやり取りをして、40ページを描き上げ、3号、4号に掲載しました。描きあげまでの苦労を一緒にしてきたその子が2008年の「まんが甲子園」に出場し、スカウトマンの目にとまったことに号泣したといいます。

「この頃には各社のスカウトマンがまんが甲子園の会場に来ていて、彼女がその作品のコピーを見せたんです。すると詳しくお話をしましょうということになり、それなら原画があったほうがいいと言って、まだ編集部で預かっていた原稿を、私が日曜の朝早く会場に持っていったんです。その時彼女にはじめて会いました。当時、そんな長編を持ってくる子はいなかったですし、スカウト生として選ばれた時は、感動のあまり本人より大泣きしてしまって・・(苦笑)。作家と一生懸命取り組んで、結果が見えるということはこんなにも嬉しいことなのか、楽しいことなのかと思いました。彼女のおかげで、私はもう自分でまんがを描くのはいいやって思うようになりましたね。その後ビバ!!さんは高知大学へ進学し、結婚して、今でもイラストを描いています。」


安岡京子さん

「まんがを描いても誰も怒らないじゃないですか、高知って。漫画を読むことも限度を超えなければ大丈夫だし、ひとつの漫画を回し読みする家庭もありますよね」と、高知のまんが文化の一例を話してくれた安岡さん。

楽しさの3乗!

高知インディーズマガジンでは、世界中にいろんな作家がいることを知ってほしいと「表紙イラストコンテスト」で世界各国から作品を募集したり、冊子の電子書籍販売で、日本中で読むことができるなど、新しいことに取り組んでいます。最後に、安岡さんにとってまんがとはどういう存在になっているのかお聞きしました。

「たぶんですが、まんがを取り上げられると生きていけないと思うんですよね(笑)。ご飯を食べるのをやめるか、まんがを読むのをやめるかと迫られたら、ご飯を捨てそうですし…。読む楽しさ、描く楽しさ、にプラスして、つくる楽しさっていうのが一つ乗っちゃっているんですよね。楽しさの3乗なんです。なかなかの感じで、まんがに対して愛はあるとは思っています(笑)。」

「まんが王国・土佐」を象徴する安岡さんの行動力やまんがへの想い。高知から発信する漫画雑誌「高知インディーズマガジン」の今後に、注目したいと思います。


高知インディーズマガジンは、5月、11月に発売。定価は670円。取扱い店は、かるぽーとミュージアムショップ、TSUTAYA(中万々店/いの店/四万十店/南国店)、宮脇書店(高須店/イオン高知店)、まるごと高知(東京)ほか。電子書籍での販売もあります。
http://kochiindiesmagazine.web.fc2.com/

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