まんが甲子園25周年記念インタビュー(高知県高等学校文化連盟 松木会長)
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高知県立高知西高等学校の校長であり、高校生の文化活動を広く支援する高知県高等学校文化連盟の会長を務める松木優典さん。近年では来賓としてまんが甲子園に足を運んでいる。 まんがに情熱を燃やす生徒たちを一番近くで見守ってきた松木会長にまんが甲子園の見所、まんがと文化、教育について語ってもらいました。
●まんが甲子園の見所
まんが甲子園はまんがという表現を通した頭脳戦。
白熱した会場内の雰囲気はまさにスポーツ観戦さながら!
まんが甲子園は審査員から出されるであろうテーマについてどう解答していくかの戦いです。さらに、そのテーマを「私たちはこう解釈しました。その上で私たちはこう表現します」という、どっちかっていうと国語の小論文のテストに近いんです。読解力と表現力が必要なんですよね。
しかし、芸術作品っていうのは主観の世界ですから、点数をつけたとしてその点差がたった2点差だったとしても、そこには大きな壁があるんです。さらに言うと、まんが甲子園は点数だけの世界じゃないので、実は審査の傾向を読んだ上での頭脳戦が繰り広げられているんです。
まんが甲子園の会場に行って、本戦のテーマが示されますよね?本戦のテーマでも、決勝戦のテーマでもそうなんですが、会場では「よし!」っていう顔と「うゎ~」っていう顔の二つに分かれるんです。なぜなら、それぞれの高校では本戦に挑むまでには、どんなテーマが出されるかを練って構想まで書きためているんです。ある意味受験と一緒で、どんなテーマが出るか分からないけれど、「多分この大学はこういうテーマだ」それに対して大学が求めているレベルや視野の広さ、深さなど求められるものをぶつけていかないと、合格しませんよね?
次に、他のチームに勝つにはどうすれば勝てるか。ルールと相手チームの状況を見ながら自分たちのチーム作りをして勝負に挑んでいく。そういう意味ではまんが甲子園はスポーツの大会に近いですね。というかスポーツの大会と受験のミックス版みたいな感じですね。会場内では凄まじい重圧やストレスがそれぞれの生徒にかかっていると思いますが、でも、それが楽しいと思っている人たちが集まっているんでしょうね。そして、その場は本当に勝負の世界なので、やっていることが野球やバレー、サッカーだったり… 競技種目が違うだけで本質の部分は完全に勝負の世界と同じなんです。だから漫画は文化部だけど、この会場の熱気や闘争心、団結力がひしひしと伝わってくる雰囲気は野球の甲子園や春高バレーの試合なんかとまったく変わりませんし、そこが見所だったりもしますね。
●文化とまんが、そして教育
まんがは人生をより豊かにしてくれる。
しかし、そこには自分でコントロールする力が必要。
まんがは自分の人生を豊かにする可能性があるものだと思っています。ただ、まんががいまだにダメだと言われる多くの場合は、今のスマホと同じでハマりやすいんですよね。読み始めると何時間もそればっかりになってしまうこともありますよね。
でも、まんがを読む子たちが勉強もして家の手伝いもしてっていう生活をしていれば、多分ダメだって言われないと思うんです。まんがに限らずスマホも一緒だし、ゲームも一緒だと思うんだけど、自分でコントロールできるかどうかだと思うんです。まんがを自分の人生を豊かにできるものっていうふうに捉えて、節度を持って質のいいものを取り込んでいく。そうやって、自分の人生を豊かにしていける読み方ができていけるといいですよね。
また、高文連も“まんが王国・土佐”を高知の歴史、高知の特徴のひとつとして、まんが文化を守り育てていきたいと思っています。2020年には“2020こうち総文”という高文連の全国大会が高知で開かれるんですが、そこで協賛部門にまんがを入れたいと思っているんです。協賛部門ではあるけど正式部門です。そこでまんがを立てることができれば全国のまんがへの評価が上がるので、メジャーなものに変えていけると思うんです。まんが文化は人によって評価にまだまだ差があるので、これからが“力”の見せ所だと思っています。
●まんがが好きな生徒たちへ
まんが甲子園でやっていることは、世の中に対して自分をどう表現していくか。テーマは与えられますが、そのテーマを自分の中に一度取り込んで、自分ならこう解釈する、こう見ますっていう、いわば1枚のまんがに、広がりと深まった自分を出していってるわけです。
自分というものをある意味さらけ出しながら勝負をしているので、そこで上位に進出できたというのは、それだけ育った自分がそこにいるということなんですよね。なので、まんがが好きなら、そういう絵を描くという表現方法で自分自身を高めるためにどんどん勝負してもらいたい。自分と向き合って、自分を高めることにつながっていくまんが甲子園。皆さんにもぜひチャレンジして欲しいです!
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