第28回まんが甲子園予選審査会 審査員の先生方の講評
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令和元年6月20日(木)に行われた予選審査会での審査員の先生方の講評をご紹介します。
牧野圭一先生
28回もこの企画を展開すると、高校生諸君はもち前のエネルギーと学習力で思い掛けないほどの飛躍をすることが分かった。
想像を超える長足の進歩なのである。一コマまんがの世界的傾向と言ってもいいが、一コマまんがには『ナンセンス一駒』という分野があり、強烈な表現で言葉の違う国々の読者にも、作者の意図が通じる表現法が確立している。
まんが甲子園も例外ではない。その世界のジャンルに逆行する流れがもうすぐそこに見えている。
時も時、高知県は知事主導で『まんが甲子園・センバツ』を意識したネット上の世界コンテストに着手した。早晩、高校生のレベルアップの姿は、オリンピックや国際スポーツの領域に達し、その世界に飛び出していくに違いない。
それほど大きな力を持った文化に成長したのが、『漫画、まんが、マンガ、MANGA』の世界であり、クールジャパンの中核に据えられても、揺るぎない立場を入手した。
まんが甲子園の“功績”はそれほどの“足跡”を残したことと、自画自賛する所以である。同賞は今後ますます、その色彩を鮮明にして行くことになる。
高校生の皆さんは、現在の自分の国籍にこだわらず、画いた絵が、世界語として通じる時代がやって来たことを知っていただきたい。この企画を30年前に高校生の先輩に働き掛け、ずっと見守ってきた筆者の自慢であり、皆さんに今後もずっと参加し、見守っていただきたいと切に願うものであります。
くさか里樹先生
【国内】
もっと安易な発想のものが多いんじゃないかと心配していましたが、おもしろい着眼点の作品がたくさんあって嬉しかったです。
全体に書き込みすぎ、セリフや文字要素に頼りすぎる傾向が見られるのは気になるところ。セリフを一切使わない作品作りを練習してみてはどうでしょうか。一段も二段もレベルアップすると思います。自分たちの作品がどんどん良くなっていくことを体験するのはたまらなく嬉しいものです。
ともあれ、たくさんの学校からのチャレンジありがとうございました。予選で惜しくも敗れた学校も、是非現地へ見にいらしてください。予選を通過した学校は、自信を持って、且つ、レベルアップを目指してください。
本選を楽しみにしています。
【海外】
いつもながら、画力が高いですね。
デッサン力もあるし、彩色も上手です。一番すばらしいところは丁寧に仕上げているところです。
アイデアも、おもしろいもの、皮肉なものなどそれぞれの世界観が表現されていましたね。
しかし、せっかくの画力があるのに言葉に頼っている作品が多いのは残念でした。
同じアイデアを、セリフなしで描いてみてください。すごく上達すると思います。
チャレンジありがとうございました。
Moo.念平先生
【国内】
審査会場に入ったとたん、私は面白オーラに包まれた!
300近い作品群が「早く見てくれ」と手まねきをしているようだ。声をあげて笑ったり、意味深さに胸を打たれたりと、レベルの差はあれ全ての作品が面白かった♪
この中で票を集め本選出場を決めるには他と同じ事をやっていてはダメだ。
それではここで、プロ生活35年の私から作品をさらに面白くするいくつかの方法を君だけに教えよう。他のヤツらにはナイショだぜっ。
★「ウソ」をつこう!……だませという意味ではない。現実にはない事を考えろ。新しい職業、ありえない規則、バカげた発明、見たこともない生物、理想の大恋愛♡等々、みんなでワイワイ言い合えば大笑いしながらアイデアがあふれてくる♪
★逆転させよう!!……よく知っているもの同士を入れ換えてみる。大人と子供、あちらの国とこちらの国、社長と平社員、ペットと飼い主、男と女♡等々、「反対」になるだけで面白い♪
★大げさにしよう!!!……数を増やせ、ゼロにしろ。巨大にしろ、ミクロにしろ。まっ白にしろ、まっ黒にしろ。超速にしろ、スローにしろ。天国にしろ、地獄にしろ等々、ギャップが大きいだけで面白い♪
――――何でも描けるのが「漫画」の素晴らしいところだ。1つのアイデアをいろんな方法で料理して最高の1枚に仕上げよう!君たちにしか描けない作品を待ってるぜ♬
【海外】
皆さんの見事な画力には感服しています!
しかし、多すぎるセリフは絵のジャマになるし、字を読むだけで疲れてしまう。「絵」だけで見せるのがベストですが、どうしても文字が必要ならば、それさえも絵の一部にしてしまおう!
「フキダシ」の形や色でその人物の気持ちを表現し、文字のサイズや配置で、音量やメロディーを届けるのです。
あなたのメッセージを1人でも多くの人達に分かってもらえるように、もっと考えよう!もっと楽しもう。そうすれば「画力」よりも素晴らしい「漫画力」を手に入れることができるのだ♡
ひのもとめぐる先生
【国内】
みなさん、楽しい作品をありがとうございました。
スーパーボランティア、自動運転、共に環境を描くテーマでみなさんの日常が伝わってくる気がしました。
丁寧に描かれている分、アイデア、ストーリーの練り不足が惜しい作品が例年より多い!と悔しい気持ちになるくらいでした。
ただ描くことも大切ですが、たくさんの人に見てもらう作品は「伝わること」をしっかり考え、計画しなくてはいけません。描かないとわからないものや、描いた事で変な意味や捉え方をされるものが出てきます。神経質かも?と思うくらい気をつかい、時にメンバーや先生、家族に「伝わってる?」と聞いてみることも大切です。恥ずかしいかもしれませんが伝え合うことは、まんが以外のあらゆるシーンで役に立ちます。
まんがは作者や読者本人たちが会うことはありませんがコミュニケーションです。
発信されたメッセージがしっかり受信できた33校でした。
(本当はもっとあったけれど・・)
正解のない世界ですが、またたくさんまんがを描いて楽しんでほしいと思います。
【海外】
大変おもしろい作品が集まり、選ぶのに苦労しました。
海外の作品はカラフルなところが大好きです。
また絵のレイアウトも計画的なものが多く熱意を感じました。
言葉が違うというハードルは感じなかったのですが、設定の説明文章が多い作品が多いと思いました。
選ばれた作品は日本のものもですが、文章、セリフが適切に作られています。(センスかもしれませんが・・)ここぞという時に伝える力をつけて、もっとまんがを描いて、楽しんでほしいです。
作品を送ってくれてありがとう!
クメヒロオ先生
【国内】
毎年レベルが上がってきていると感じる。
どの作品もそれなりに一所懸命描いていると思いました。
クスッと笑える作品が多くて楽しかったです。
絵のレベルの高い作品が増えてきている感じがします。
落ちた作品の中にもいい味のものが結構あったと思います。おしかった。
いい作品はパッと見てすぐわかる、わかりやすさが際立っていると思います。あまり説明しないとわからないと不利だと思いました。
【海外】
台湾、韓国、シンガポール、昨年も感じましたが、絵が上手い、レベルが高い作品が多い。とても感心します。テーマのとらえ方が”言葉の壁”のせいもあるのだろうと思いますが、いまいち深まってない作品もあって残念な点も感じました。
岩神義宏先生
【国内】
今回の審査は例年になく審査員の票が割れる激戦審査となりました。
それだけ応募作品のレベルが高かった証拠です。
海外校も入れた応募総数は270校とチョット少なめでしたが、作品レベルは高かったと思っています。
やっと本選出場校が決まった時は、予定審査時間をかなり過ぎていました。
惜しくも本選出場できなかった作品は、言葉遊びで止まっていて、もう一捻り足りなかった所ですネ。
とても良いと思う発想が出てもそこで満足せずもう一捻りする創り込みをして来た作品がやはり良い評価をもらっています。
今年おしくも本選出場を逃した学校も次回はがんばってください。
【海外】
今年もまんが甲子園参加ありがとうございます。
応募作品はどれも力作ばかりで審査するのが大変でした。その中で選ばれた高校の選手の皆さんおめでとうございます。ぜひ高知で大暴れしてください。
そして、日本の高校生といっしょにすばらしい作品を描いてください。
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