第25回まんが甲子園予選審査会 審査員の先生方の講評

ホーム > 王国の賢人 > まんが甲子園予選審査会 審査員の先生方の講評 > 第24回まんが甲子園予選審査会 審査員の先生方の講評 > 第25回まんが甲子園予選審査会 審査員の先生方の講評

更新日 : 2016/06/23

平成28年6月22日(水)に行われた予選審査会での
審査員の先生方の講評をご紹介します。

牧野圭一先生


牧野圭一先生

 

『絶対的正解』は無い

 

 課題から連想できる言葉や物語を洗い出し、それを俎上に乗せて協議する・・・という制作のプロセスが作品から伝わってきます。しかし、その努力が見る者にどれくらい理解されるか?どのように描くかも大切な選考条件となるのです。

 回を重ねて25回。先輩達の作例を参考にすることができますので、参加校の多くが力強い制作ぶりを見せています。選考委員は皆、そのパワーに圧倒されながら懸命に取り組みましたが、やはり、一見して作画意図が伝わってくる作品に票が集まったのは、どの選考会場であっても共通の流れであるようです。

 作画チームからは「私たちがあんなに準備してがんばったのに!」・・・の声も聞かれそうですが、教室での授業と違うのは、“絶対的な正解”が無いことでしょう。いや、『正解』が無数にある・・・ということになるかもしれません。

 高校生の皆さんが、自分で『大正解!』を生み出し、創り出すのが『まんが甲子園』なのです。予選でもすばらしい作品たちに出会いましたが、本選では選考委員がヒザを叩いて喜ぶような“創作的正解”を描いて見せてください。-それを最大の楽しみとします。



くさか里樹先生


くさか里樹先生

 こんなに笑った予選審査は初めてです!

 ズバ抜けてる作品は少なかった印象でしたが、つまり全体のレベルがアップしているということなのでしょうか!!嬉しいことです!!

 力が抜けて自然体で創作できているので読み手も素直に笑えます。だから選ぶのがとても難しかった。線や採色にもう少し気を配れば作品が発する力がアップしたかもしれません。

 テーマですが、どちらも日常のいろんな場面に当てはめられます。パッと思いつくだけでも「コンタクトレンズ」「トイレットペーパー」「傘が無い」とか「残高が無い」などの「○○ロス」。

 情報流出もスマホやタブレットからおもいきって離れてみて、一個思いついたら、どんどん広がったり、発想の壁を突破すると自分でも思いもよらない力が溢れ出てきます。それはとてもとても楽しく気持ちのいいもの!

 敗れた学校も勝ち上がった学校も差はほとんどありません。紙一重。予選、本選などのテーマを使って全国各地で「まんが甲子園ごっこ」が流行るといいな!

 まんがを描くことをうんと楽しんでくださいね!!



Moo.念平先生


Moo.念平先生

 漫画家生活32年にして自分がイチバン描きたくない絵…が分かったぜ。それは“回転ずしの店内”の絵だーっ!パースの効いたベルトコンベアーで無限(?)に流れてくるバラエティーに富んだスシたち、握る職人、食べる客…ワ~~~~~~超めんどくさいっっ。できれば避けて通りたいものですが、ナント!予選作品の中に3枚もありました、回転ずしの絵が!!ネタ(まさしく)をより面白く見せる為に困難な作画に果敢に挑戦した君たちはファイターと言えよう。少なくともMoo.念平なんかより『漫画マッチョ(漫画をより強く仕上げるために労力を惜しまないパワフルな奴という意味の自作語)』だ!バッチリ描きあげられた作品は、それだけで見る人の足を止めさせる。

 今回も多くの「コレ本当に高校生が描いたのか」と疑ってしまう程の画力を目の当たりにしました。絵の上手によって勝ち進んでくるチームは毎年ある。絵が達者であるという事だけを理由に優勝しそうなハイレベルの作品もある。しかし、そうは決してならない。なぜならこれが、「イラストコンクール」でも「絵画大賞」でもなく『まんが甲子園』だからだ。

 アイデアと絵が組み合わさったものが「まんが」です。アイデアをより面白く見せる絵、絵に一段と奥行きを与えるアイデア、どちらが欠けても魅力ある作品にはなりません。アスリートの筋肉が素晴らしいのは、そこに“目的”があるからです。むやみにただ鍛えただけのモノより、何をするためにそこにあるのかに意味がある。お母さんから漂う玉子焼きのにおいやシャボンの香り、ベテラン職人の手にある無数のキズ、ラブレターの便箋がやぶけるほど何回も書き直したアト、優勝して満面の笑みで流す涙の輝きなど…なぜそこにあるのか、その背景を想像してみよう。そしてそれを最高のカタチで人に伝えるアイデアと絵の力がタッグを組んだ時、面白い(カッコイイ・感動的・美しい・笑えるナド多義)まんがが完成するのだ!今回もそんな作品に多く出会いました。

 本選に残った31チーム(プラス2チーム)は、さらに「コイツらの作品をもっと見たい♪」と期待させるものが選ばれました。

 今回、選にもれたチーム、そして全国のまんが好きの皆さん、8月の本選、ゼヒ観に来てください。世界中で最も熱い真剣勝負を応援しようぜ!我々審査員と一緒に!!



ひのもとめぐる先生


ひのもとめぐる先生

 今年はこの一言で…

 

 『あきらめないことが大切です』

 

  何事も「丁度良い」が肝心です。

そうじゃなかったなあ、おかしいかも?と作者に迷いがあった作品は、残念なことに読者に見破られてしまいます。納得し、気持ちよく人前に出せるところまで突き詰めた作品が本選出場できました。

 やはり、あきらめないことが大切です。

 本選も楽しみです。



さかもと清敏先生


さかもと清敏先生

 まんが甲子園も今年で25回を迎え、応募は44都道府県から319校、韓国2校、台湾3校の力作が集まった。6月22日会場の高知城ホールいっぱいに作品が並び、ペン児たちの熱気が伝わる緊張の空気の中で厳正な審査が展開された。

 テーマ「情報流出」は応募数166校。今や情報化時代、セキュリティーと守秘義務を問われる時代、ミステリックに情報が流出する、それを漫画チックに表現。斬新なアイデア、限りない遊びと笑い、例えば、回転寿司に代わって情報がテーブルの上を回って出てくるとか面白い。

 テーマ「○○ロス」は応募158校、今時の流行語から○○に言葉を入れ替えたらこんなに面白い発想になったかと迷わず1票を投じた作品。

 いつも感じるのは「テーマ」が発表されてすぐにパッと思いつくアイデアは10人中5人が思いつくと考えるべし。言い換えると同じネタが多数ある被りネタになり、その中から厳選されるので不利となる。例えば、○○ロスではサンタクロスとかイカロスやメロス等々である。

 まんが甲子園も25回ともなると作品もレベルアップしてきた。ネタの発想、構図、配色もよくなり、社会情勢も良く見、風刺でブラックユーモアの効いた優秀なものが増えてきた。

激戦の審査の結果、本選へ出場する33校(日本31校、韓国・台湾各1校)は、8月6~7日まで腕を磨いて面白い作品を発表してください。惜しくも僅差で今回本選を逃したチームは次回アイデアによりをかけて審査員がアッと驚く作品を期待しています。来年のまんが甲子園でお会いしましょう。



岩神よしひろ先生


岩神よしひろ先生

 

 

 今年は国内319校に加え、台湾3校、韓国2校と国際色豊か?な作品審査会でした。

 「情報流出」は、ほとんどの作品がストレートに勝負していて解りやすかった反面、もうひとひねりすればもっと良くなるのではと思える作品があった。テーマとしてはマイナスイメージでも明るく、面白い作品が多くて楽しめました。

 「○○ロス」はある程度予想はしていたが、やはりメロスやイカロスが多かった。ネタ被りを避けるためか難しくしすぎて解り難くなってしまってもったいないなと思う作品もありました。

 全体的にはどの高校も絵がうまくて見ごたえのある作品ばかりで、審査の時間があっという間に過ぎてしまいました。本選に出場する学校とできなかった学校の差は本当に紙一重です。気を落とさず来年頑張りましょう。



▲ページのトップへ