2021年 第4回世界まんがセンバツ 決勝審査員講評

1枚まんが【高校生部門】 テーマ:我慢

最優秀賞
『完成間近』
作者:サイバー鈴木(日本)
デジタル作品ならではの絶妙なボカシ効果が光る作品。ちょっと作家心を掴む作品ですね。要素を極力排除したところに、コミカルな虫のキャラクターがまんがらしい。主人公の表情も、パーツのデフォルメも絶妙ですごくいい!こういう瞬間が描けるのはとてもまんが力が高いと思います!(ひのもとめぐる)

ワンアイデアで全ての戦いに勝ったスゴイ作品。
場所が分かるともっとオモシロイ。例えば自分の部屋なら、壁やポスターや本棚が少し見えてるとか、イベント会場なら観客席や、『トランプタワー世界大会』といった垂れ幕・横断幕、「ガンバレ!」のプラカード、胸に大会ロゴの入ったTシャツを着てる等…いくらでも方法はある。そして肝心のタワーの高さも分からせたい -となるともう少し引いた絵にして、虫メガネ的なズームの丸いコマで蚊のアップを見せるという方法もある。
アイデアが決まったらラフ絵を何種類も描いてみて、いちばん面白くて分かり易いものを選ぼう♫(Moo.念平)

トランプタワー完成間近!しかし手の甲には蚊が。叩きたい。でも叩けない。
叩けば完成間近なトランプタワーが。あの痛いぐらいのかゆみは、誰もが経験しているはず。
思わずプット噴き出してしまいました。
マンガを読む人は、疑似体験をしていると言います。まさにこれは、疑似体験ですね。(山田ゴロ)
優秀賞
『cup noodle』
作者:Ui Yeon(韓国)
楽しい1枚と見せかけて、実は細部まで気配りができているいい作品。どの要素も「何を表現しているか」がわかって、見ていて飽きない作品です。とても楽しく描かれているし、読む人を楽しませようという気持ちが伝わりました。色の塗り方が暖かくて良いですね。(ひのもとめぐる)

(笑)絶対に食べてはいけない”午前3時”である事が絵でサラリと説明されていて上手い!
お湯を入れた後で部屋中のたうち回って後悔(?)するポッチャリ姉さんの動き・表情・鼻で吸い込むニオイの表現まで全てが面白い♫最高!! 3つの小ゴマを使わずとも同じ表現ができただろうと思います。この女性の職業(昼間の顔)も分からせたらどうでしょう?それは壁に貼ってある物やフックにかけられた服、テーブルの上の本などで見せられます。昼と夜のギャップでさらに楽しく♫
”1枚”の中でいろんな事ができますよネ~♫(Moo.念平)

絵全体から、カップヌードルの香りが匂ってきそうです。
早く食べたい、3分待てない。そんな気持ちが溢れていました。
たいへん情報量の多く、お湯を入れてから待ちきれない気持ちから、飛びついていくところまで、1ページに詰め込みすぎた感もありました。
表情がとても良くて、笑いました。(山田ゴロ)
健康を大切に賞
『あたるまでは・・・』
作者:梅干し愛好家(日本)
「キャー!(食)当たってる~!!」というツッコミ待ちの作品。この「ツッコミ待ち」のやりとりは1枚まんがでは有効ですね。個人的にこの主人公が、食べたあとのアイスの棒を袋にきっちり仕舞っている律儀さが良かったです。こんなにきちんとしている性格なのに、こうなることが予想できなかったのか?!…となるとなんのために当たりを当てようと?!と、ちょっとドラマが想像できる1枚でした。(ひのもとめぐる)

【総評】


決勝は非常に単純化された作品が多く、とてもレベルが高いと感じました。
結果としては、どのくらい話に入り込めるか?で決まったような気がします。中にはSNSなどのトレンドになった物をそのまま描いているもの(これはこれで今風で良い!)もあったのですが、そういうの「楽しい物の共有」はさておき、さらに「どれだけ自分のモノにできるか?」が面白さの伸び・勝敗を分けたような気がします。「自分がこの主人公だったら?」そういうモノに人は弱いのかな~と思いました。どの作品も素晴らしかったです!(ひのもとめぐる)

小ゴマを散りばめた作品に対して「”1枚絵”と言えるのか!?」という指摘があった。確かに!
その作品では3つの小ゴマを使って”時間の流れ”を説明していたのでイエローカードと言えた。なるほど、小ゴマ内でストーリーが進行するのは反則っぽい。
例えば、ある人物が頭の中で考えている色々な事を同時多発的に小ゴマで描き並べるのはセーフだと私は思います♫ 皆さん、いかが?
状況がひと目で分かる作品がやはり強い。描きたいものではなく”見せたいもの”を描きましょう。
全ての審査が終わって最も心に残ったのは、お散歩から帰りたくないワンちゃんのあの顔♡テーマが『我慢』でなく『反抗』だったら良かったんだけどネ~(笑)。(Moo.念平)

お題を知らなくても作品からそれを連想できるものばかりでした。きっとアイデアも絵もたくさん悩んだと思いますが、出来上がった原稿はどれもユーモアに溢れとても楽しく読ませていただきました。
ありがとうございました。(森川ジョージ)

「我慢」というテーマに、1人も被ることのない「我慢」を展開してくれました。
いろいろな誘惑からの我慢や、身体的に強いられることからの我慢だったり。
中には子どもの予防接種で、付き添いのお母さんが、子ども以上に我慢をしているという微笑ましいものもありました。長い選考の上「完成間近」と「カップヌードル」が選ばれました。おめでとうございました。
また、1枚マンガと一コママンガの違いについても、改めて考えさせられました。(山田ゴロ)
 


1枚まんが【フリー部門】 テーマ:約束

最優秀賞『ワニと小鳥の約束』
作者:小林尚武(日本)
単純なわかりやすさがやや欠けるところもあったが、細かな心配りが心地よく、作品への滞留時間が長い。その長さと画力、そしてテーマへのアプローチがしっかり合っており、シンプルなのに見応えのある作品でした。(ひのもとめぐる)

素晴らしい画力!…ですが、このシステム -鳥はワニの食べかすにありつき、ワニは鳥に口の中をキレイにしてもらう……持ちつ持たれつ♪-の関係性を知らない人にも分かるようにするなら →楽しそうに食事してる鳥の親子(数が多いほどオモシロイ)、口の中キレイでピッカピカ、ワニ「うふふ♪」と嬉しそう。両者間で交わされた契約書(もっと大きく描く)には大きなワニと小さな鳥の”足印”が並んで押されている♡…
待てよ、ここまで書いてワニの表情が気になる。まるで「クソ~、この契約書さえ無けりゃパックンなんだがな~」的なコワイ視線に見えます。私は勘違いをしていたのかもしれない…。スミマセンッ今さらですが、この作品の真意は!?(Moo.念平)

うまい!この一言に尽きました。
ワニの顔に貼られた誓約書が、もっと大きいと良かったと思います。
じつに丁寧で色合いも良く、楽しかった。(山田ゴロ)
優秀賞『平和へのやくそく』
作者:のざきしょーいち(日本)
あまりにもダイレクトすぎる表現で、心を打たれました。どうなるのか、心がザワザワしてしまいました。どの要素も過不足が無く、完成度の高い1枚だと思います。(ひのもとめぐる)

主役とも言える”指きりげんまんの小指”が全く目立たず、意味を理解するのに時間を要した。パッと見、ゲンコツをぶつけ合ってるバトルに見えてしまいます。あっ、もしかしてそれが狙い?バトルと見せかけて実は平和を…と?地球は遠景ではなく、コブシか指きりか分からない不安定な2つの手の上でユラユラ揺さぶられているという状況か!?
-といった色んな解釈を許してしまう少々荒っぽい作品ですが、その大胆でパワフルな構図の魅力に票が集まりました♡(Moo.念平)

力強い線で、とても良かったのですが、小指の指切りげんまんが、
ちょっと目立たなかったですね。
構図の問題だったと思います。でも、拳の描き方は上手い。(山田ゴロ)
 
つるっと選ばれました賞『約束したよね!』
作者:伊藤文人(日本)
決勝審査員のうえやまとち先生に選ばれました。

【総評】

1枚まんがというのは、無限に広がる世界でありながら、狭い場所でもあります。笑いに転ぶか、真面目に転ぶか、悩ましいし、ネタやテーマに対して過不足がないか、かなり濃い戦いでした。
どれも考えさせられる、身近である、いい作品がそろっていて、驚きました。
1枚まんがというのは、ぱっと読めることが一番良いところです。どれも誰かの心に残る作品だったとおもいます。ぜひたくさんの方に読んで欲しいです。(ひのもとめぐる)

大人は絵が達者だったり、考え方が達観していたりで、ヨユウあるがゆえに、カッコつけます。片手だけで何かやって見せたり、通りすがりにちょっと一言ささやいたり、スマートにこなして残り時間ソファでくつろいだりしてます。…これでは高校生に勝てるワケがなーーーい!裸になって漫画に取り組もう!頭カラッポになるまで面白い事を考えてみよう!!大人が本気出すとこうだぞーっというのを見せつけてやろうぜっ。
あと、これはもう本当に個人的な意見なんですが、「昔ばなし」「世界名作」系のネタを使うのはどうも好きじゃありません。(「パロディ」というジャンルがある事は承知の上で言いますが)どうしても”他人の褌”感が付きまといます。フリー素材と見るか、誰かが作った物と見るか意見が分かれるところだと思いますが、あなたがクリエイターならば、溶かして固めた”手作りチョコ”よりも、カカオ作りからやってみないか!?そのほうがぜったい楽しいです♫(Moo.念平)

フリーというのはとても難しいと思います。自分が描くとしたらと思うとゾッとします。ユーモアあり風刺ありで1枚といえど考えさせられる作品が多かったです。表現の多様さを勉強させていただきました。ありがとうございました。(森川ジョージ)

マンガを描いていて、1番画力とセンスを必要とするのが1枚マンガです。
わずか1枚で、一コマで、インパクトを与えるのですから。
そして、重要なのはその絵に添えるコメントです。
コメント一つで、悲劇を喜劇に、喜劇を悲劇にもできるのです。
そして、マンガには目的がありますが、1ページマンガほど明確に表現しなければなりません。
今回受賞された作品にも、そうでなかった作品にも、それが明確にありました。(山田ゴロ)
 

ストーリーまんが【フリー部門】 テーマ:なし

作品は世界まんがセンバツデータベースからご覧いただけます。
最優秀賞
『ベルトコンベアのうえ』
作者:なるはのと(日本)
全審査作品の中で、一番夢中になって読んだ作品でした。
「敷かれたレール」を「ベルトコンベア」とする作品はまあありがちだし、少し面倒くさい内容で文字が多いなぁーと思ったのですが、軽妙な文章はこびとスタイリッシュな個性派キャラクターたちがどうなっていくのか?と気になって仕方なく、最後までグイグイと読みました。わたせせいぞうさんや今日マチ子さんのような、清涼感やおしゃれさのある絵に、殴り書きのような結論。地の底が見えないという設定もなんだが煮え切らないけど現代を映し出しているし、ラストの集合写真が目に飛び込んできた時の温室感。そのためのこのキャラクターだったのか?!「キマッタ!」。こんなにラストが決まった作品、久々に読んだ気がします。(ひのもとめぐる)

大事件もドンデン返しも特に起こらず、まさにベルトコンベアぐらいの速度で”坦坦”と話が進む。語り口は軽妙で淀みなく、小説のテイストに近い。人間(の姿)は出ず、表情すら分からない。私なら冒頭かラストで人間を登場させて2元的構成に”逃げ”てしまいそうだが、この作者はそれをせず最後まで描ききった。全編通して単調に見えるが、例えば”黒板色”を基本とした中でもシーン毎に背景色を変えたり、学生と社会人で服装を全とっかえしたり、スローモーションで状況を印象付けたりと、読み易さ・分かり易さの為に腐心しているのがよく分かる。表情を補って余りあるキャラクター達のポーズの適確さ、必要な物を最小限の絵にまとめる構成力、革靴の作画の見事さ…かなりの実力者に違いない!植物が雨(水)を避けて傘をさすシーンは一級のギャグであり、7P目の「ベルとコンベア…」は誤字などではなく、作者によって漫然と動かされている無情さの表現であると感じずにはいられないのだ。そして静寂と迫力のラストページに圧倒されて終わる…。
-ここまでくると「坦坦」でも「淡淡」でもなく、実は「眈眈」と何かを狙う作者の鋭い目(感性)をもって描き上げられた野心作だった事が分かる。
ただ、ラスト”問い”で終わっているが、ここは作者なりの”結論”を叫んで欲しかった。いや、問う事そのものが結論なのかもしれない。ウムム…。(Moo.念平)

登場人物を植物に見立てて描いた着想が面白かったです。表情がほぼ無いので読み手の想像力によって読後の感想が変わる作品だと思いました。しかし作者の意図はきちんと伝わってきます。疑問を投げかける体で終わっていますが、主人公は今後どうなるのか?
作者はどんな答えを用意しているのか?もっと先まで知りたいと感じさせる作品でした。(森川ジョージ)

人を植物に擬人化?植物を人に擬人化して、生き方に問題定義を投げかける奥深いストーリーでした。高校進学・大学進学・就職などを、ベルトコンベアーに乗って生きていく例えにして、もし、ベルトコンベアーから外れたら、どうなるんだろうと言う不安を煽ります。やがて疲れベトコンベアーから足を踏み外した主人公がそこで見たのは、自由にいろいろな方向に枝葉を伸ばす仲間だった。最初から引き込まれるようにして読んでしまいました。植物の擬人化の意味もすごく納得しました。本当に素晴らしい作品だと思います。ちょっと荒っぽいところもありますが、内容とマッチしていて気になりませんでした。次はどんな作品を描くので生、楽しみです。(山田ゴロ)

日本の学校・教育について一石を投じるという、ややもすると重く難しくなったりしがちなテーマをユニークなキャラクター造形や、モノクロではなくフルカラーの表現力でエンタテインメントとして成立させているところが評価できます。カラーリングや擬音の描き文字などもテーマの重さとは反対にユーモラスな所もいいですね。(ComicWalker編集部)
佳作
『パラサイト』
作者:あおみ現場(日本)
今回の中で一番商業誌に近い作品だと思います。絵も物語も巧い力作です。女性がかわいく、特に表情や仕草さがよく描けていると思います。きっとどこかの紙面でデビュー済みの方ですよね?いつかどこかで出会えることを楽しみにしています。(森川ジョージ)

「ベルトコンベアのうえ」とこちらの作品の二つが最後まで残り、審査員の中でも甲乙つけがたく惜しくも佳作となりました。個人的には総合力ではこちらの作品の方が高いと感じました。キャラクターの女の子の可愛らしさなど絵柄のクオリティの高さ、現代的なテーマを取り入れつつ15ページという短いページ数でしっかり読ませる構成力、テーマを深掘りして読者にも考えさせるところもあり、とてもレベルの高い作品だと思いました。(ComicWalker編集部) 
佳作
『約束』
作者:夏野ひるね(日本)
宇宙生命体との更新ができる装置を発明。しかし、更新ができたのはわずか0.3秒。しかし、その刹那に主人公は映し出された彼女(宇宙生命体)に恋をする。もう一度、もう一度とマシンを開発している時にふっと気づく。もし、見つけてもあうことができない。何故ならそれには200年もかかり、生きていられないとわかったからだ。あきらめる主人公。そんな時いきなり通信が。それはあの彼女だった。彼女も同じ思いだった。そして約束する。「今度同じ星に生まれ変われたら、あってくれる」・・・。切ない約束。短いページで本当に良くまとめられ、感動しました。キャラクターの柔らかな感触が心地いいです。読後感がすごく良かった。胸が温かくなりました。(山田ゴロ)
佳作
『My Mama Lawyer』
作者:Tachi(タイ)
商業作品として整った作品を、こういう地方コンテストでどう取り扱うか?は結論の出ない課題です。いずれの技術をとっても商業誌掲載レベルの作品でした。私はこんなに上手なネームも絵も描けません!困った点ですが、身体障害を気軽に扱っている箇所があり、よろしくないと感じたところでしょうか。
台詞などの翻訳を別紙でいただき、照らし合わせながら読んでいたのですが、上手すぎて、「これは絵でわかる!」と先に読み進めることができ、大変実力を感じました。またキャラクターの性格や性質をしっかり作り込んでいて、生き生きしているのも良かったです。大団円を迎えるラストはオーバーすぎるようにも感じましたが、その間にそれぞれのキャラクター達を好きになってしましました。(ひのもとめぐる)

※はじめに
冒頭の裁判シーンで「色盲」を決め手として勝訴するシーンがありますが、ファンタジーな世界観を利用して”架空の特長”を作っても良かったのではないかと思います。例えば「右目と左目で見える色が違う種族」など…。

いや、とにかく絵が上手い!(プロなんスか?)タイトルページは構図から配色、タイトルロゴのデザインまでスキが無く、本編も全ページ華麗な絵で埋め尽くされ、アクションもギャグも盛りだくさんで完成度が高い。…しかし、…しかしだ!あまりにも手慣れ過ぎていて、逆にドキドキもワクワクもしなかったのだ。商業誌の連載第1話(パイロット版)を見ているようで、「この人のウデなら、こんな漫画いくらでも描けるんだろうな~」と思った。無敵の方法論をスタイリッシュに使いこなして首尾よく仕上げた作品を1位に推す気にはどうしてもなれなかった。私が言いたい事はただ1つ…「あなたは何かに挑戦したか!?」この作品を描いた事で、いままで持ってなかった何かを見つけられたか?コンテストに参加する事は、自分への挑戦であるべし!
私はあなたの知らないあなたの作品が読みたいです。次回も応募を待っているぜ!!(Moo.念平)

【総評】

どの作品も、作劇のセオリーをしっかり意識し、作画上の注意点をしっかりと認識し、まんがを作る事へのモチベーションの高さを感じました。どれを読んでも良いところがあり、もはや審査では「何が足りないか」を話し合うような雰囲気に(これはできればやりたくない!)。その足りないものも「本当に足りないと言えるのか?」「いや、足りなくても成立しているのでは?」…つまり、説明のつかない魅力もたくさんある作品たちでした。デジタルマンガの作画法が一般に普及してずいぶんたちますが、その技術をふんだんに使っている作品もあり、あえて使わない作品もあり…。しかし、その分、やはり「まんがはネーム」だ!とも感じました。「絵は記号に過ぎない」とまでは言いませんが、ネームが良く、作画が合っている作品が勝ち残りました。
受賞された皆さんおめでとうございます!応募くださった皆さん、ありがとうございました!まだまだまんがを描いていきましょう!!(ひのもとめぐる)

前回の講評で私が提案した「テーマを設けるべき」は見事に採用されず、今回も思い思いの方向を向いた10作品が並び、審査は困窮した。何をクリアしたものが優勝なのか・・・技術?インパクト?安定感?将来性?・・・基準の無いまま作品を前に議論は続き、過去作のように花火が打ち上がるような決まり方ではなかったが、結果は出ました。そして改めて確信したのです、「私達は 最も読んで欲しい作品 を選んだ」のだと。
この【世界まんがセンバツ】が、国籍不問、プロ・アマ不問、そしてテーマ無しで応募している真意に遅蒔きながら気付き、膝を打ちました!全応募作の中からオススメ作品を選出し、世界中の人達に読んでもらう、これがまんが王国・土佐が満を持して立ち上げたこのコンテストの心臓なのだ。
漫画は読まれる為に描かれます。皆に読ませたい!と思わせる力のある『ベルトコンベアのうえ』はまさに漫画そのものであると言える。技術や完成度を越えた”作品”としての魅力、作者の思いがダイレクトに伝わる作風。堂々たる1位です。
伝承話を元にしたという『家康の食い逃げ』は作者が楽しんで描いているのがよく分かる快作。人物の描き上げがもっと明確にされていれば・・・。
やわらかな作風が魅力の『死ぬにはいい日だ』は、場面ごとの情景描写が足りず、思い出が心に残らない。
アイデンティティーの崩壊を丁寧な演出で見せた『パラサイト』は、発端とラストに事件をからめた説得力が欲しい。
アクションとコメディの融合が楽しい『妖怪糾察隊【妖怪ピケット】』は全編通して絵が大きく、豪快ではあるが状況がつかみにくい。
無言の主人公の心情をスタイリッシュに描く『Chanchararan』は、漫画家という職業も含め主人公の行動やキッカケに必然性が欲しい。
ポップでダークな世界観の『ワンダラーズ』は独特のセンスに可能性を感じるが、少々読者おいてけぼり感も。
ファーストコンタクトをピュアに描いた『約束』は、キャラクター造形にもうひと味を。感情の起伏でストーリーを引っぱっていければ。
そして今回私のイチオシだった『With "YOU" in the Woods』。主人公の心理描写とそれに伴う表情・動作が素晴らしかったが、ひとつの不明確な点を説明できず、残念ながら他の審査員の支持を得られなかった。(※『My Mama Lowyer』は別項にて)
-皆さん、絵のうまさとは何でしょう?私は、リアルさや緻密さではなく”明確さ”だと思います。『アヒルとウサギの多義図形』を例に出すまでもなく、どっちつかずの絵や紛らわしい絵では作者の真意は正確に伝わらない。それどころか全く違う意味にさえ受け取られかねません。自分だけが分かっていてもダメ。漫画はコミュニケーションの手段であると考えて、自分の思いを100%カンペキに伝える為にウデをみがき続けよう!
”分かり易さ”は作品づくりの第一歩であり、目指し続ける最高水準なのです。
…………ん~~~でも、やはり「テーマ」は決めた方が良いと思います!私は!!(Moo.念平)

全体的にとてもレベルが高く受賞作以外でも、すぐに商業誌で通用するのではないかと思わされる作品が多かったです。
もっともっと描いて下さい。できれば読んでいる人の顔を思い浮かべながら。
皆さんの中の誰かをいつか雑誌で見かける時が来ると思います。同じ紙面で出会えたら嬉しいです。(森川ジョージ)

応募された作品のレベルが高く、選考に苦慮しました。
中にはこのまま雑誌に載せてもいいんじゃないかと思える作品もありました。
本当にみなさんに賞を上げたかったです。
マンガは絵と文字で構成されています。そして、できうる限り無駄を省かれた略画です。それらは作品の内容によって微妙なバランスを保っています。人を笑わせ、泣かせ、怒らせ、勇気などの感動が、人の心を揺さぶります。それは本当に素晴らしい事です。マンガを描く醍醐味でもあります。
受賞された方も、惜しくもされなかった人も、これからもますます頑張って頂きたいと思いました。(山田ゴロ)

今回も多くの国からたくさんの作品が集まりました。それぞれの作品にいい所があり選考する側も楽しく読め、絞り込むのに苦労しました。最優秀賞の「ベルトコンベアのうえ」や佳作の「パラサイト」など非常に質が高く、社会の不安を反映したような作品もあり考えさせられましたし、逆に佳作の「My Mama Lawyer」や「妖怪糾察隊」などの海外作品は非常に熱量が高くジャンプのようなエンタテインメント性に優れており一気に読ませる力がありました。「ワンダラーズ」など非常にセンスとイメージ性あふれた作品もありました。
このまんが賞はプロ作家デビューを目指すという事ではない賞だと思いますのでみなさんまずは楽しんで、商業漫画にはない表現やテーマなどにも自由にチャレンジしてもらえるといいかと思います。(ComicWalker編集部)

お知らせ

2022/09/05
第5回世界まんがセンバツ特設ページ公開!
2022/03/14
第4回世界まんがセンバツ 決勝審査結果
2021/08/12
第4回世界まんがセンバツ特設ページ公開!
2021/03/08
第3回世界まんがセンバツ 決勝審査結果 Result of the Final Round(速報)

お知らせ一覧へ