第27回まんが甲子園予選審査会 審査員の先生方の講評

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更新日 : 2018/06/27

平成30年6月22日(金)に行われた予選審査会での
審査員の先生方の講評をご紹介します。

牧野圭一先生


牧野圭一先生

 

― 100分の1秒差で勝敗を分ける短距離走のように ―

  私は「まんが甲子園」第一回大会から、参加高校生の戦いぶりを作画現場で見守って来ました。今年27回目の予備選作品を拝見して感じたことは、『仮想』『フェイクニュース』という課題に対し、予習・復習のセオリーがしっかり守られており、その成果も作品に反映されていることです。他の選考委員の皆さんも、選考過程で口々に語っておられましたが、「与えられた課題に対する思考過程」を各チーム、共有できるまでに進歩してきたということになります。
 結果、宇宙人や宇宙そのものが多く登場することになりました。世界中の人々が共有している有名な童話(裸の王様)や神話、名画(モナリザ)なども、一枚漫画の世界では、扱いやすい材料です。審査会場のテーブルには、これ等似通った作品が、複数並んで置かれますから、取材の記者さん達から『Aが通過して何故A❜が通過しないのか?』との質問を受けるのは、当然かもしれません。
 短距離競争のように、同じ条件で、同じトラックで全力疾走しながら、Aだけが通過するのは、100分の一秒差。僅差の勝負に例えられるでしょう。しかし、漫画制作はスポーツに例えても、十分には理解できないかもしれません。
 私が全作品の中で一点だけを挙げるなら、宇都宮東高校の『パンと一緒の釜で火葬』になります。「仮想」を「火葬」と置き換えて、ブラックユーモアの世界で勝負する!当然リスクもあるのですが、描き手ばかりでなく、27年目の鑑賞者は『読み取り能力=リテラシー』の向上も目覚ましく、スタート時なら双方受け入れなかった表現まで許容するように大きな変化を見せています。
 「まんが甲子園」の素晴らしいところは、高知県担当部局が情熱をもって高校生の作品に取り組み、26回の応募作品、決勝戦作品がデータ化され、何時でも振り返って鑑賞し、研究も可能な状況が構築されていることです。県外から指定されて参加。審査委員長の重責を与えられていることに感謝しています。
 知事さん先頭にバックアップを惜しまないスタッフの姿、ご努力に、心から敬意を表するものです。高校生の皆さんも、プロの作家集団(選考委員)も、そして大学の漫画文化研究者も、積み上げられたこのデータ有ってこそ、自信を持って評価し発言することが可能です。
 優勝旗に近付くためには、宇都宮東高校の様な【冒険】も必要です。100メートル競走の選手が突然飛び上がり、ピーターパンのように空を飛んでしまうことも許されているのが【漫画・まんが・マンガ・MANGA】と表記される表現分野です。
8月の本選には、「一枚漫画」「一齣漫画」の特徴をさらに深く予習・復習して、素晴らしい成果を見せて下さい。審査員一同、楽しみに待っています。
 



くさか里樹先生


くさか里樹先生

 全体に、「仮想」「フェイク」にとらわれすぎたことで、スマホやVR装置、SFファンタジーなどに発想が限定されてしまいましたね。そのせいでとても苦労していたように感じました。
アイディアを考えるときはパッと思いつくものは封印しましょう。全然関係のなさそうなものを並べて、ああしたらどう、こうすればおもしろいんじゃない!?と、盛り上がるところに天使は降りてきます!
 絵やセリフは書き込みすぎないようにしましょう!
 説明文は絶対書いてはいけません!
 みなさん、とても上手なんだから、発想のコツをつかんで益々まんがを書く楽しさを味わってくださいね!



Moo.念平先生


Moo.念平先生

 

 

 『フェイクニュース』『仮想○○』…どちらも「実体の無いもの」という類似性があり、そこを明確に分けて描かれた作品が強いだろうと考えながら審査に臨んだが、それは少数であったように思う。こういう場合は両者の決定的な違い、絶対的な独自性を皆で出し合い、それをアイデアの根本に据えると良い。いちばんオリジナルな要素、太(ぶっと)いところ、熱いポイントを、ネタのスタートラインにする(ゴールではなく!)のだ。
 昨年の『二刀流』でもそうでしたが、ただ2本の刀を構えたヒーローの絵を描いて終わってるモノがかなり多かった。もう一歩進んでも“2頭の竜”を描き上げて安心してるのも多過ぎたぞ。そこから先がアイデアであり、イチバン面白いとこじゃねーか。弁当箱のフタ開けて中身食わないとは何ゴトだ。食材をきざんだだけで放置してるが、料理はこれからだろっ。それどころか材料ならべただけで、包丁すら使ってない作品もチラホラ……。
 人を楽しませるのはカンタンな事ではない、しかしメチャクチャ楽しい事です。町中(なか)のポスター、テレビCM、プロの漫画を見よ。ワンシーンのメッセージを伝えるのにどれだけのアイデアが盛り込まれているかっ!プロとは、それを仕事にまでしちまったバカ野郎の事です(←ホメ言葉)。そんな事を24時間やれるヤツラの事だ。しかし、人を楽しませるのにプロもアマも関係無い!そして私達プロもまた読者であり、お客さんなのだ。待ってるぜ!全力の作品を!!
 “全力”とはエンリョをしない事、自分の心にウソをつかぬ事だ。
 漫画が大好きという自分のキモチを決して裏切るな!!!



ひのもとめぐる先生


ひのもとめぐる先生

 

 

 悲しい、苦しい、傷つけるお話は、おもしろくなければいけません。今年の予選で強く思ったことです。
 明るい作品も多くあった中、負の作品の威力が強く、ダメージがありました。中には気持ちのいいダメージもあり、感動さえおぼえましたが、人を傷つけるだけつけといて!(笑)という作品もありました。
 その原因をたどると、それ以外の作品のヒントにもなりそうだと思ったので書いておきます。
 多くの作品が「アイデア」で止まっている事が大きな問題です。
 プロの私たちでもよくわからない「おもしろさ」ですが、それについて考えているかどうかというのが大きく、「考えて答えが出た」作品、次に「考えたものの、答えがいまいち」の作品、ここまでは受け取れても「考えていない」作品についてはもやもやが残ります。
 思いついた「アイデア」そのものが「おもしろい」という根本的なものではなく、そのアイデアに対して世界観や作風との整合性、言いまわしのおかしさやわかりやすさ、一番見てほしい箇所の選定、レイアウト…。それらを考えているとある時「読者にこう感じてほしい!」という思いが生まれる瞬間が来ます。
 これが「アイデア」というただの思いつきが、「作品」に変わり個性と思想になったものです。
 予選通過30校はこの「作品」まで「アイデア」を昇華できたのだと思います。
 また熟考の上のすばらしい「作品」を期待します。
 301校のみなさん、ありがとうございました。



クメヒロオ先生


クメヒロオ先生

 今年も絵が上手だなぁ、と感心する作品が一定ありました。文句なしにいいな、と思える作品は、シンプルですぐわかる。(絵もアイデアも)今回のテーマ2つが割と似通ったところのある?テーマだった気がしますが、アイデアがちょっとあいまいでどっちのテーマかすぐにわからなかった作品も時々見かけました。
 海外の作品は絵の上手さはプロ並のものが結構ありました。昨年もそうでしたが。台湾から非常にたくさんの応募があったのはうれしいことでした。

 



岩神義宏先生


岩神義宏先生

 

  今年も激戦の1次審査で大変でした。「仮想○○」ではVRゴーグル(仮想空間)にたよりすぎていてネタかぶりでもったいないなと思える作品が多かったです。安易にネタを決めてしまっていたのでもう少し踏み込んで考えるともっとおもしろい作品になったのではないかと思います。
 「フェイクニュース」はこれまた宇宙人ネタが多くどうしても比べられてしまいもったいなかったです。
 描きやすいテーマだと思った時ほど「まてよ。もっと他の切り口はないか?」と視点を変えてみるとおもしろい案が出るはずです。



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