アニメーター 有澤寛さんインタビュー

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更新日 : 2017/10/30
有澤寛さんインタビュー

高知県出身の実力派アニメーターが業界で活躍しています。
その中のひとりが、「機動戦士ガンダム」シリーズのテレビアニメで、
メカニック担当の作画監督の一人を務める有澤寛さんです。
その有澤さんに、これまで歩んできたアニメーター・作画監督の仕事を
じっくりと語っていただきました。

自分の枠だけで考えれば、成長は止まってしまう

 高校球児であり、安芸工業高校(現:安芸桜ケ丘高校)に通っていた有澤寛さんは、部活の終わりに当時ぢばさんセンターで行われていた「まんが甲子園」をふらっと観たことが、まんがやアニメを意識するきっかけになりました。高校卒業後は大阪でアニメの専門学校に進学。そこでアニメのつくり方や作画の仕方を学ぶうちに、アニメーターという仕事に興味を持ちます。その当時は「自分でも描くことができるかな?まあやってみよう。」という感じだったと有澤さん。卒業後、大阪のアニメーション会社に就職して、経験を積んでいきます。

「最初は自分が描く動画(原画と原画の間をつなぐ絵)のクオリティーが低く、うまく描くことができなくて、よく先輩に指摘されていました。でも、締め切りがあるから描くしかないんですよ。だからすごく悩みながら、仕事をしていましたね(苦笑)。

 基本、アニメは東京でつくっています。自分たちのスタジオは一話30分の番組で、300カット強ある中の一部を任されていました。機械でいえばネジをつくっている感じで、『このネジはどこの部品に使われるの?』という、全体像が見えない中での作業でした。ただ、先輩に色々アドバイスをもらい、経験と共にそれが理解できるようになるんです。ある時のちょっとしたアドバイスで、『こうやればいいんだ!』とハッと気づき、絵が一気に良くなったこともありました。」

 アニメ業界は実力社会で、働く時間も長く、3年目ぐらいまでは仕送りがないと生活ができないといわれるほど収入が少ない、厳しい環境といわれています。しかしその間は実力を蓄えている期間ともいえます。会社に勤めて約3年半が経った頃、社長と東京のスタジオが話し合い、「席が空いたので東京へ行くか?」と打診された有澤さん。機動戦士ガンダムシリーズなどを制作するアニメ会社に移籍という形で東京へ行きます。

 そこでは大阪時代と違い、原画、作画、制作進行など、それぞれを担当する方が揃っていたため、仕事全体の流れがわかり、多くの方とコミュニケーションを交わし、原画も数多く見て、刺激を受けます。「大阪にいた頃は電話の対応だけでしたから、相手の顔が見えるというのはいいですね(笑)。移籍した当時は、『ガンダムSEED』をつくっている時でした。それからずっと関わっています。」と話します。

「日頃から人が描く原画をよく見ています。この仕事は自分だけの考え、枠でしていたら、それ以上は伸びないというか、止まっちゃうんですよ。他の人がどういう絵の動かし方をしているのか?今の時代、テレビでも動画サイトでも、いろいろと機会がありますよね。作品を見ていて『この動かし方いいね』と感心することもあります。それを見たら、めちゃくちゃへこんじゃう(笑)。でもそうやって刺激を受けていかないとダメですから。どうしても仕事の目線になるので…。昔『勇者シリーズ』の中で、『勇者特急マイトガイン』や『勇者警察ジェイデッカー』、マジンガーシリーズの『グレートマジンガー』などロボットアニメがめちゃ好きでしたし、それらの作品は今でも純粋に楽しめます(笑)。」


有澤寛さんインタビュー

手描きメカ・アニメーター


有澤寛さんインタビュー

 「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」、「ZEGAPAIN―ゼーガペインー」等でメカニック作画監督を、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンス」ではチーフアニメーター・メカニック作画監督を務めるなど、近年のテレビ「ガンダムシリーズ」には欠かせない存在になっている有澤さん。どんな風に描けばロボットがかっこよく見えるかを追及している。現在の仕事を聞くと、「アニメの30分番組で300〜350カットが基本です。スケジュールにもよりますが、通常は全体を8週から9週で制作する中で、作画期間は4〜5週です。自分はレイアウト作業を一日2カット、2週間で20カット上げて、その後20カットの原画作業を2週間で上げるよう目安にしています。早い人はもっと描くし、遅い人もいます。またいくつかの仕事に関わっている人もいますから、いちがいに何カットとはいえません。とにかくアニメ作品は大勢の人が関わります。自分としてはバリバリと原画を描いていきたいし、その原画を自分なりに動かせていければ、より楽しいですね。」といいます。将来監督を目指しますか?と質問すると、「真近で監督のことを見ていますが、やっぱりすごく大変ですよ(笑)。毎日、全マス見ていますし、作品を全体的に見るので、考え方も全然違います。これから先は『絵コンテ』もやっていきたいと考えています。」といいます。


苦労した分、喜びも大きい世界

 これからアニメーターを目指す若者たちにアドバイスをお願いしました。 「白鳥を見た感じと同じで、見た目は優雅に見えるかもしれませんが、水面下ではすごくバタバタしています(笑)。いつも切磋琢磨しなくちゃいけないし、自分を追い込む時は、めっちゃ追い込まなくちゃいけない仕事なんです。僕たちはお金をもらっているプロなんですよ。だからそれなりの質のものを絶対上げなくちゃいけません。

 実は、手を抜こうと思えば、ある程度できるから、自分に負けないかどうかなんです。それと、自分でコツコツとやる仕事でもあるけれど、一つの作品に大勢の人が関わるので、人間関係も大事だし、コミュニケーション能力が必要ですね。

 また、働く環境も大事です。この世界に入ったばかりの人は、お金の面で大変だと思いますが、やっぱりいい先輩に出会う、いいスタジオに入る、それは本当に大事です。働いているうちに影響を受けて、考え方が前向きになり、技術も向上します。

 今でもすごく忙しい大変な時はありますが、描いているうちに、ランナーズハイ的な楽しくなっちゃう時間帯があるんです。深夜テンションみたいな(笑)。いろいろな苦労がありますが、それらを抜きにしても、やっぱりアニメづくりはすごく楽しいし、自分が関わった作品の放送を見て、すごく胸に来るものがあります。」

 有澤さんは専門学校を卒業してアニメスタジオに就職。アニメーターとして成長していきました。この点も大きかったといいます。「学校ではアニメーションの流れやそれに関係する仕事のことを教えてくれますから、それはメリットですね。あとは同期ができること。これは後々就職してから心強くなります。辛い時、嬉しい時に「語ろうぜ!」となるので、ライバルや同期は大切です。また、専門学校とスタジオはつながりがありますから、就職先を自分でというよりは、学校を通じたほうが探しやすいし、スムーズにいきますね。」と話します。

 作品づくりの第一線にいる有澤さんの言葉を聞きながら、仕事環境は厳しいものの、苦労した分、喜びも大きいのがアニメーターの世界のようです。インタビュー中もずっと笑顔でいた有澤さん、今後の活躍も期待しています。


有澤寛さんインタビュー

有澤寛さんプロフィール

1980年、高知県安芸市生まれ。
代々木アニメーション学院大阪校を卒業後、大阪のアニメ制作会社スタジオワンパックに就職。その後、東京のアニメ制作会社サンライズに移籍。主にテレビの「ガンダムシリーズ」のメカニック担当として、「ガンダム鉄血のオルフェンズ」、「ガンダムビルドファイターズ」、「ガンダム00(ダブルオー)」などを手掛けている。

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